私は毎月の楽天カードの利用額が確定すると、自動的に楽天ポイントが「Point Club」に付与される設定にしています。
そしてこのPoint Clubでは、残っているポイントがあると自動的に「利息ポイントプラス」に取り込まれる仕組みになっています。
普段はあまり深く考えず、必要なときに取り出せる“ポイント預金”的な感覚で使っていました。
しかし、ある日ふと
ん?これ、本当に“得してる”って言えるの?
いや、もしかして…企業だけが得する仕組みだったりしない?
といった疑問が湧いてきました。
確かに、ユーザーにとって「利息がつく」ことは額面上はお得に見えますが、最近のインフレ状況などを考えると、見方が変わってくるかもしれません。
今回はそんな視点から、楽天の「利息プラスポイント」って本当にお得なの?という視点で、楽天ポイント利息の制度について考察していきます。
気になる方はぜひ最後まで読んでみてください。ポイントの使い方への考え方が変わるかもしれません。
制度の仕組み|利息プラスポイントとは?
楽天の「利息プラスポイント」は、使わずに保有している楽天ポイント(通常ポイント)に対して、月ごとに利息ポイントが加算される制度です。
楽天PointClubアプリの設定をオンにするだけで自動的に適用され、特別な手続きや操作は不要です(めっちゃ楽です)。
この制度の注意点は対象ポイントが「通常ポイント」のみで、期間限定ポイントは対象外という点です。また、月末時点の残高に応じて利息が計算されるので、月途中でポイントを使用してしまった場合は、利息に反映されません。
楽天ポイント利息の概要(2025年6月 時点)
- 対象ポイント:通常ポイント(期間限定ポイントは対象外)
- 利率:年利0.108%(月利換算 約0.009%)
- 付与タイミング:毎月末の保有残高に応じて、翌月に利息ポイントを加算
- 出し入れ自由:預けたポイントはいつでも使用可能(途中利用しても残高に応じて利息がつく)
個人的にこの制度は、使い道の決まっていないポイントを「とりあえず預けておく」感覚で利用したい人にとっては、魅力があるものだと思います。
たとえば、有効期限が迫っている通常ポイントを、少しでも長く保有しておくために一時的に利息ポイントに入れたりすることもできます。
ただ、利率は年利0.108%と低く(楽天銀行の利率よりも低い)、1万ポイントを1年間預けたとしても利息はたった10ポイント程度で、本当に「お得」と言えるのか、個人的には疑問が残ります。
そもそも、企業が「ユーザーが得をするだけの制度」を導入することは稀で、こういう「一見お得」な制度には、だいたい企業側の狙いがあるもんです。
では、この制度が企業にとってどのような意味を持つのか、次の章では個人的な考察を書いていきます。
【考察】なぜポイントに利息を付けるのか?
企業が「利息プラスポイント」という制度を導入した背景には、ユーザーに対する利便性だけでなく、戦略的な意図がはっきりと存在していると個人的には考えます。
ここでは、その中でも特に重要と考えられる戦略的意図を2つに絞って掘り下げていきます。
「会計上の負債性」を緩和することができる
通常、企業のポイントは、会計上「発行されたがまだ使われていないポイント=将来的に支払い義務のある負債」として処理されると言われています。これは楽天もおそらく同じでしょう。
つまり、ユーザーがポイントを使わない限り、企業にとっては“未払いの借金”のような扱いになるのです。
この点において、利息プラスポイント制度は、ユーザーに「ポイントを使わず保有し続ける」という動機を与えます。
仮にポイントが使われずに残っていれば、企業は“未払いの借金”の支払いを先延ばしにでき、短期的な費用計上を抑え、キャッシュフローを改善できるのです。
つまりこの制度は、ユーザーの“お得感”を利用しながら、企業自身の財務体質を整える仕組みにもなっている可能性があるということです。
インフレによるポイント価値の希釈
もうひとつの企業側の利点は、インフレの環境下における“ポイントの価値の希釈”です。
現在、日本のインフレ率は年2〜3%前後とされており、日用品やサービスの価格がじわじわと上昇しています。
一方で、ポイント利息の年利はわずか0.108%。
この差が意味するのは、ポイントの名目額が増えたとしても、実質的な購買力はむしろ下がっているという事実です。
たとえば、1万ポイントを1年間預けて増える利息は10ポイントです。
しかし、同じ期間にインフレが2%進めば、その1万ポイントで買える商品・サービスの価値は実質9,800円相当にまで目減りします。
ユーザーから見れば「利息で増えて得した気分」ですが、企業側から見れば、支払う実質コストを下げられる構造です。
見た目には得していても、実態としては損をしている可能性がインフレ率によっては起こり得ます。
預けたポイント | 年利0.1%の利息 | インフレ率2%時の価値減少 |
---|---|---|
1,000 pt | 1 pt | 約20 ptの実質価値損 |
10,000 pt | 10 pt | 約200 ptの実質価値損 |
→ 見た目は「増えている」ように見えるが、実態は価値が下がっている

ポイント利息のユーザー側のメリット
では、ポイント利息は、我々ユーザーにとって全くメリットがないのでしょうか?
決してそんなことはありません。
まず、有効期限が迫っているポイントを一時的に預けておく「避難場所」として活用できる点です。
通常ポイントは有効期限が長めとはいえ、使用予定が明確でないまま保有していると、いつの間にか失効してしまうこともあります(楽天カードユーザーならまず起こり得ませんが)。
その点、利息制度に預けておけば、“失効はせず、かつ少しでも増やせる”という安心感につながります。
また、ポイントは株式や仮想通貨のように額面が変動することはありません。そのため、表面的には「減らない安心感」があります(あくまでも...)。
しかし、インフレが進めば、同じ1ポイントで買えるモノの量は減っていくため、実質的な価値は目減りします。
つまり、名目上は“保たれている”ように見えても、実質的には価値が毀損していく資産である点は注意が必要です。
また、制度自体が将来にわたって維持される保証はありません。
仮に楽天が1ポイント=1円という価値基準を変更すれば、利息で得られるはずだった利益は無意味になってしまう可能性もあります。
利息プラスポイント制度は一見お得に見えるものの、実質的な利益は限定的であり、状況によっては損をすることもあるという点に注意が必要です。
それでも、「失効するくらいなら少しでも利息がついた方がいい」と考える人にとっては、一時的な保管先としては一定の安心感をもたらすかもしれません。
- メリット:
- 有効期限の近いポイントを一時避難させる場所として使える
- 「貯めてるだけで増える」という安心感(表面上)
筆者の考察|預けるより使う方が「今」は得
結論から言えば、インフレ傾向が今のように続くのであれば、楽天ポイントは獲得した瞬間にすぐに使うのが個人的には合理的だと考えています。
利息プラスポイントの制度は、預けておくだけで僅かにポイントが増えるため、「損はしていない」と感じがちですが、先ほど述べたように、インフレが進むと同じ1ポイントで買えるモノの量は減っていくので、実質的には“価値が目減りしている”状態となります。
使わずにポイントを寝かせておくと、見えないコスト(インフレ手数料)を払い続けているとも言えるでしょう。
したがって、ポイントは「増やす」よりも「活用する」ことに重きを置くべきだと個人的には考えています。
個人的には、楽天ポイントを投資信託の購入に使うことが多いです。
楽天証券でポチッと買えるので、手軽です。
最近だと、アメリカのペニー株とか、将来ワンチャン跳ねるかも…くらいの気持ちで入れてみたりもしてます。
もちろんゼロになるリスクもありますけど、年利0.1%の利息よりは夢があるなと思ってます。
正直、「ちょっとでも増えたらラッキー」くらいの感覚で投資に使った方が、ポイントが利率がいい気がします。
かくいう私も、短期間だけ使い道が決まっていない場合(投資先が投資タイミングとして最適でない時期)や、有効期限切れを避けたい場合には、利息制度を一時的な「避難先」として活用するのは有効な選択肢だと思っています。
たとえば、数週間〜1か月程度なら、実質的な価値減少のリスクも小さいため、合理的な使い方といえるでしょう。
おわりに|利息に釣られず、楽天経済圏を上手に使おう
楽天の「利息プラスポイント」は、一見すると我々ユーザーに対してとてもお得なサービスのように見えます。
しかし、実態としては企業側にとっての戦略的メリットが色濃く反映された仕組みではないでしょうか?
もちろん、使い道が決まっていないポイントを一時的に預けておく“避難先”としては一定の価値がありますが、「利息がつくから預けておこう」という判断は、インフレによる実質的な価値の目減りや、機会損失のリスクがあり見直すべきです。
結局ポイントって、“増やすこと”よりも“どう使うか”がすべてなんですよね。
利息に釣られて放置してるくらいなら、ちゃんと自分の意思で活用していくのが一番賢い使い方だと思います。
* 本記事は筆者個人の見解に基づいて作成されたものであり、特定の企業やサービスを誹謗中傷する意図はありません。
情報は2025年6月時点のもので、制度変更等の可能性もあるため、最新の情報は公式サイトをご確認ください。